Last Update 2005/8/6

オラの本棚

本日釣り日和  夢枕 獏 著 あんず堂 ISBN4-87282-201-3

”地球に優しい”
とか
”環境に優しい”
 という言葉があるが、あれは嘘だ。
 あれは言葉のあやであり、地球にとって、どのような環境が優しいも糞もない。あれは、正確に言うなら、
”人間にとって優しい”
 と、書き換えるべきである。
 オゾン層が破壊されて、人間が全部ガンで死に絶えてしまったとしても、森林がこの地上から失くなって、人類は滅び、多くの生物が死んでしまったとしても、地球にとってはどうでもいいことだ。生命が何もいなくなったとしても、地球はそのおりおりに、ただ、地球であるだけである。

 (「悦楽の釣行 長良川」 より)


 釣り人はたいくつしない。
 釣れない釣り人は、不安と、いらだたしさと、怒りの真っただ中にいるのかもしれないが、少なくとも彼はたいくつとだけは、無縁の場所にいるのである。

 (「草平線の国 モンゴル紀行」 より)

  最近は、釣りのときじゃなくても退屈しなくなりました。何もすることがないシアワセ、っていうんですか。そんなものを感じることができます。
 これもひとえに年の功(笑)。

 はっきり書いておけば、人間には二種類しかいない。
 釣り人と釣り人でない人の二種類である。
 さらに、釣り人は、二種類の人種に分類できる。釣れた釣り人と、釣れなかった釣り人のに二種類である。
~中略~
 しかしまだ、天地がふたつに分かたれる前の宇宙のように、釣れた釣り人、釣れなかった釣り人のふたつの存在に分かたれる前の釣り人  つまり、竿を出す前の釣り人は、おおむね、善人であり、未来を信ずる信仰あつき人々なのだ。

 (「悦楽の釣行 哀しみの宴」 より)



 基本的に一人称は「僕」なんですが、椎名誠氏とその仲間達とのくだりでは、「おれ」になってるところが読みどころです。

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